坊守式・坊守研修

坊守(ぼうもり)とは坊(お寺)を守る人という意味で、浄土真宗では伝統的に住職の妻のことを「坊守」と呼んでおります。副住職(若院)の妻は「若坊守」と呼ばれております。

さて住職継職から3年が経ち、今回、京都西本願寺にて坊守式研修・坊守式に参加させて頂きました。

坊守として必要な基本的事項を習得し、寺院における諸活動の中からのよろこびや悩みをともに語りあう研修を通して、坊守としての本分をつくす旨を仏前に誓約することを目的とする。という趣旨のもと、新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中、感染症対策を含めた要項を細やかに作成されたものに沿って、実施されました。

気象庁の予報では、ちょうど開催期間は10年に一度の“最強寒波”不要不急の外出は控えるように、とのこと。京都に到着すると、比較的穏やかな天気で安堵して研修に参加しておりました。しかし、夕方近くになると窓から見える外の景色はみるみるうちに雲行きが怪しくなり、猛吹雪になりはじめ、あっという間に銀世界へと変わっていきました。1日目の接遇対応や寺院運営研修を終え、研修開場である門法会館に宿泊。部屋から見える本山駐車場は積雪のため、退勤される職員の方のついたばかりの車のタイヤ跡、自転車、徒歩で帰られる方も…窓を開けると、あちらこちらから聞こえるサイレンの音に、不安を覚え、皆さんご無事でお帰りくださいと願いながら。翌日のニュースで、各地で事故や混乱が起こり、京都では電車の立ち往生が発生し、10時間も車内に閉じ込められた人もあったとの事。多くの方が不安と不自由な思いの中でおられたことでしょう。

 翌朝は6時からのお晨朝にお参りさせて頂きましたが、阿弥陀堂の階段や廊下も風雪の影響で真っ白。静けさの中に響く喚鐘の音が厳かであり、また、参拝者の足元が危なくないように早くから準備して頂いたのでしょう、階段等にはゴザが敷かれておりました。調声はご門主がお勤めになられました。とても貴重な、迫力ある時間を過ごし、今迄に経験した事のない雪の本願寺の幻想的な風景に、寒さも忘れるくらいの感動とより一層身の引き締まる思いをしながら坊守式を迎えます。

式が始まる前に、職員の方ご指導のもと、坊守の皆さま方と何度か流れを確認し練習して、阿弥陀堂へ向かいます。そしてご本尊を目の前にして始まった式は、ご門主様ご臨席のもと、お言葉も拝受し、総長祝辞 、坊守式代表受式とご本尊の前で終始厳かな雰囲気の中、浄土真宗の歴史の重さを感じたひとときでした。

今回31名の坊守様たちと一緒に式を受けましたが、コロナ禍で色々と制限もあり十分交流する事ができませんでしたが、自坊以外のやり方や取り組みを知る事で、刺激を受けたり、思いを共有することも出来、貴重な時間を過ごせました。

そして、お寺だから出来る事、自坊のこれからを考え、時代に即したやり方を試行錯誤しながら、浄土真宗に支えられる安心感をご門徒の皆様へ届けられるよう、微力ながら住職をはじめ寺族と共に励んでいきたいと改めて思いました。こうして学びの機会を頂けた事、日々支えてくださる方々に感謝し、本山をあとにしました。合掌

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